★ 第1話「カケルと清菓」 ★ ナレーション(カケル)「まるで退屈しない僕の高校生活は、おかしな出会いから始まった―」 カケルと清菓が出会う。 カケル「どうしたんだい?小学校はあっちだよ」 清菓「え〜?わたし高校生だよ」 カケル「(ウソだっ)」 カケル「(どう見ても小学生…小学1年くらいだよな)」 清菓「わたしと同じ高校だね〜。名前は?」 カケル「普通、自分から名乗るもんだろ」 清菓「失礼だな〜。わたし高2だよ?」 カケル「(何ですとー!?僕より年上かーい!)」 清菓「学校までついてってあげる」 カケル「はぁ…」 おじさん「おや?パパとおさんぽかい?」 カケル「違いますっ!」 清菓「そういえば自己紹介まだだったね」 清菓「わたし甘味清菓(かんみさやか)。おかし部2年だよ」 香織「あら、ごきげんよう」 清菓「あ、香織ちゃん」 香織「清菓ちゃんが男の子と一緒なんて珍しいですわね」 香織「わたくしは草野香織(くさのかおり)。おかし部2年ですわ」 カケル「(えっ…おかし部って…?)」 カケル「おかし部って何なんですか」 香織「もとは茶道部だったのですけど…」 清菓「わたしが生徒会にお願いして」 香織「おかし部になったのですわ」 カケル「どんな生徒会だー!」 香織「あなたお名前は?」 カケル「え、名前?ああ、佐藤カケルです」 清菓「おかし部に入っちゃいなよ」 清菓「ねえねえ、おかし部に入っちゃいなよ」 カケル「(言えない…甘いものが苦手だなんて言えない…)」 香織「…ふーん」 香織「佐藤君は甘いものが苦手ですのね」 カケル「(見抜かれてるっ)」 清菓「大丈夫。イヤでも甘いもの大好きにしてあげるよ」 カケル「(…怖っ)」 ★ 第2話「おかしな部員たち」 ★ カケル「先輩、僕はこれで失礼します」 清菓「放課後、おかし部に来てね」 清菓「絶対だよー」 キーンコーンカーンコーン(チャイムの音) カケル「おかし部…か。茶道部の上に貼り紙がしてあるな」 カケル「ホントに来てしまった…」 明理「よーっす!おかし部にようこそ!」 カケル「…」 カケル「スカートの下にジャージ…足にはサッカーボール…」 カケル「どう見ても運動部じゃないですかっ!」 明理「えー?なんでだ?」 道子「それじゃ、自己紹介を始めるわね」 道子「私は茶畑道子(ちゃばたけみちこ)。一応部長をさせてもらっているわ」 明理「あたしは御殿場明理(ごてんばあかり)。面白いことなら何でも好きだぞー」 党次郎「僕は天 党次郎(あま とうじろう)。男のくせに甘いものが好きだなんて変だよね…?」 党次郎「ねえ、一緒にパフェ食べようよ」 カケル「(言えない…甘いものが苦手だなんて言えない…)」 ガラッ(扉を開ける音) 清菓「あ、カケルくん」 カケル「あ、先輩」 清菓「(ひそひそ声で)カケルくんが甘いもの苦手なのは秘密にしといたげる」 清菓「(ひそひそ声で、ちゃっかり)その代わり、宿題を全部手伝ってね」 党次郎「ねえ、クレープ食べない?」 カケル「(どうすればいいんだー!)」 党次郎「まあ、いいからクレープ食べてみてよ」 カケル「…」 清菓「いいなー」 カケル「(先輩っ)」 党次郎「ねえ、どうだった?」 カケル「(息を切らして)はあ、はあ…」 (コロンと話が変わる音) 明理「なんか面白いことしようぜー」 党次郎「おかしを食べる」 香織「ハーブティーを嗜むのもいいですわね」 清菓「カケルくん“で”あそぶ」 道子「面白そうね。佐藤君、こっちへ来て」 カケル「イヤだぁぁぁ!」 清菓「この激甘ソフトクリームを、カケルくんに食べてもらいます」 カケル「ちょ…」 清菓「秘密をバラされてもいいの?」 カケル「…」 明理「おおっ、泣きながら食べてるぞ」 道子「よっぽど甘いものが好きなのね」 香織「甘いものが苦手なら言ってしまえばよろしいのに」 カケル「言えるわけないじゃないですか…」 カケル「みんなこんなに甘いもの大好きなのに…」 党次郎「もぐもぐ」 清菓「ぺろぺろ」 明理「ボールは友達!せっ!せっ!やー!」 カケル「御殿場先輩…サッカーボールであんなに楽しそうに…」 カケル「何でこの人はおかし部にいるんだー!?」 ★ 第3話「祭りに行こう」 ★ 明理「みんなで夏祭りに行こうぜー!」 道子「ちょっと地味かもだけど…浴衣を着てきたわ」 香織「わたくしも、ですわ」 明理「あたしはジャージだ!何も問題なし!」 清菓「カケルくん、いっしょに歩こっ!」 党次郎「ねえ、カケルくん。一緒にあんず飴食べようよ」 カケル「…」 清菓「ねえねえ、金魚すくいしよ」 清菓「ふんふん♪ふふーん♪」 清菓「一匹もとれなかったよ〜」 カケル「先輩、僕が一匹とりましたから、あげ…」 清菓「くれるの?ありがとー」 (コロンと話が変わる音) 道子「おかし部らしく何か甘いものを食べましょう」 清菓「かき氷にアイスキャンデー、いちごサンデーにモンブランもいいね」 カケル「最後のほうはないんじゃ…」 党次郎「あったよ、モンブラン」 カケル「(あるんですかっ)」 パンパカパーン! 清菓「わーい!すいーつぱらだいす!」 カケル「何でこんな所にっ、ううっ」 清菓「モンブランひとつ!」 清菓「カケルくん、あーん」 カケル「先輩、実は僕は甘いものが…」 清菓「秘密がバレたら誰も相手にしてくれなくなるよ」 カケル「食べます」 ★ 第4話「部長のお悩み相談室」 ★ 清菓「ぶちょー、そうだんしたいことがあるんだけど」 清菓「カケルくんの様子が最近おかしいの」 清菓「クレープを勧めても、全然食べてくれないの」 清菓「なんでだろーね」 道子「ほんと不思議ねぇ」 道子「佐藤君はもっと違うおかしが好きなのかも知れないわ」 清菓「うーん」 清菓「もっと甘いのがいいのかなぁ」 清菓「甘さ1000%のバナナクレープがあるらしいよ」 道子「それいいんじゃない?」 カケル「(がくがくぶるぶる)」 党次郎「部長、相談事があるんです」 党次郎「最近、佐藤君の様子がおかしいんです」 清菓「甘ーいおかしが食べたいんだよ」 道子「きっととびっきり甘いのがいいわ」 カケル「(がくがくぶるぶる)」 明理「よーっす!部長!相談があるんだけど」 カケル「ちょっと、待ったぁー!」 カケル「またおかしって言うつもりですね」 清菓「なんのこと?」 清菓「おかしのことを話すとなんかまずいの?」 カケル「(アハハ…もういいですよ)」 ★ 第5話「みんなといっしょ」 ★ 女子「キャハハハ!アンタがウワサのおちびちゃん?」 清菓「むー」 女子「高校生のくせにキャンディーなんか持って、成績も身長も小学生並み」 カケル「先輩の悪口はやめてください!」 女子「何よ!」 カケル「先輩は小さいけどそこが魅力というか…」 カケル「かわいくて何が悪いんですか!」 女子「何よ!このロリコン!ド変態!」 清菓「…」 清菓「…ばか」 カケル「先ぱ…」 どこかへ行ってしまう清菓。 一人取り残されるカケル。 カケル「…」 ―おかし部部室 道子「…」 道子「そう…」 カケル「部長…僕何か甘味先輩を傷付けるようなこと言ったでしょうか…」 道子「それは佐藤君が自分で答えを見つけることよ」 道子「今は清菓ちゃんが元気になるまでそっとしておきましょう」 党次郎「元気出しなよ」 カケル「…」 部室を覗き込む清菓。 清菓「…」 香織「やっぱり気になりますのね」 清菓「ひゃうっ!」 明理「あ、清菓だ。よーっす!」 道子「こらっ、やめなさい」 清菓「(やっぱり、みんなといっしょが楽しいな!)」 ― おわり